勝手に画面が割れた? GBAの液晶劣化とIPS液晶化

落下させたり、どこかにぶつけてしまったりして、
あっ!画面が割れてしまった!
……と、あまりならないのがゲームボーイアドバンスの画面です。

これは、表面パネルと液晶画面の間に少し隙間があり、
衝撃が加わった場合でも、
表面パネル側が衝撃を受け止めるため、
その下の液晶画面まで影響が及びにくいためです。
※…と私は考えています。

そんな割れにくい画面を持つゲームボーイアドバンスですが、
お客様よりこのようなご相談をいただくことがあります。

久しぶりに遊ぼうと思って取り出したら画面が割れていた
以前は割れていなかったのに、いつの間にかヒビが入っていた

不思議ですね。
なぜ、このような“勝手に画面が割れる症状”が発生するのでしょうか。

目次

ゲームボーイアドバンスの液晶画面が割れる原因

本当に衝撃によって割れているケースもありますが、
「保管していたのに勝手に割れていた」という場合は、
液晶画面の劣化により、
液晶表面のフィルムが割れたように見えているケースが多く見られます。

ゲームボーイアドバンスの液晶画面の詳しい構造については割愛しますが、
画面表面には偏光フィルムが貼り付けられており、
このフィルムによってゲーム画面や文字が見える仕組みとなっています。

しかし、この偏光フィルムは経年劣化するため、
劣化が進行すると、
お酢のような酸っぱい臭いがしたり
シミのような模様が発生したり
液晶が割れているように見える症状が発生します。

偏光フィルムが劣化したGBAの画面の写真
偏光フィルムが劣化したGBAの液晶画面の写真です。
GBAの劣化した偏光フィルムを剥がした後の写真
偏光フィルムを剥がした後の写真

劣化した偏光フィルムを剥がすと、
液晶そのものは綺麗な状態なことが多い印象です。

ただし、稀に液晶自体まで劣化しているケースもあります。

この場合は、
偏光フィルム交換では改善できないため、
液晶画面そのものの交換が必要となります。

対処・改善方法について

先ほど記載したとおり、
この症状の多くは、偏光フィルムの劣化により発生します。

そのため、この劣化自体を止める方法はありません。

ゲームボーイアドバンスは発売から年数が経過しているため、
程度の差はあるものの、多くの本体で劣化が進行しています。

この症状を改善するには、
新しい液晶へ交換するか、
偏光フィルムを交換する必要があります。

純正と同じバックライト非搭載の液晶へ交換する方法もありますが、
せっかく交換するのであれば、
バックライトが搭載されており、
見やすさが大きく向上するIPS液晶への交換もおすすめです。

「IPS液晶とは何か?」
「見え方はどのように変わるのか?」

については、以下のページで解説しておりますので、
気になった方はぜひご参照ください。

画面にヒビが入ったように見えるGBAをIPS液晶化する

今回お預かりしたのは、
画面がひび割れしたように見えるゲームボーイアドバンスです。

症状改善だけでなく、
せっかくなら見やすさも向上させたいとのことで、
今回はIPS液晶への交換を行います。

また、同時修理として、
電源スイッチの動作が不安定で、
スイッチ位置を調整しないと電源が切れてしまう症状についてもご依頼いただきました。

そのため、本記事では、
・IPS液晶化
・電源スイッチ修理
この2点の作業を紹介します。

劣化した画面のGBA本体の写真
今回お預かりしたゲームボーイアドバンスです。
レアな限定カラーです。
劣化した画面のGBA本体の写真
違う角度から撮影
画面がひび割れしたように見える状態でした。
電源スイッチの写真
写真を見ないと分からない。これ以上スライドすると電源が落ちる絶妙な位置の電源スイッチの位置
電源スイッチ部分。

この位置であれば起動できますが、
少し右へズレると電源が切れてしまう状態でした。

純正の液晶画面を取り外す

GBA本体の裏側の写真
分解前
分解します。
GBAの内部の写真
分解中の様子
GBAの内部。
基板を取り外します。
GBAの基板を取り外した後の写真
こちらがGBAの液晶画面裏側です。
GBAの劣化した画面を手に持っている写真
劣化した画面を取り外します。
GBAの劣化した画面をみんなに見せたくて撮影角度を変えた写真
もう少し劣化が進行すると、
次は画面が黒く変色してきます。

そこまで劣化が進むと、
偏光フィルムの接着剤が液晶側へ染み込むためか、
液晶そのものが使用できなくなるケースが多い印象です。

偏光フィルムを剥がしても液晶に黒ずみが残っている状態になります。

IPS液晶を取り付ける

GBAにIPS液晶を取り付ける最中の写真
液晶を取り付けます。
GBAにIPS液晶を取り付ける最中の写真

IPS液晶を手に持っている自慢げに
手に持っているのがIPS液晶です。
単体では動作せず、
専用基板と接続することで画面が表示されます。
GBAにIPS液晶を取り付ける最中の写真
IPS液晶の基板を取り付けている時
専用基板を取り付けます。

電源スイッチを交換する

GBAのメイン基板と、新品の電源スイッチの写真
続いて、電源スイッチの修理を行います。
GBAの基板から電源スイッチを取り外しているときの写真
ホットエアーを使用して一気に取り外したいところですが、
付近にコンデンサがあるため、
熱で破損させてしまう恐れがあります。

そのため、はんだごてを使用し、
ハンダを溶かしながら隙間へヘラを入れて、
少しずつスイッチを基板から取り外します。
GBAの基板から電源スイッチを取り外しているときの写真
内部の劣化状況の説明写真
電源スイッチの内部です。

軽度な劣化であれば、
接点復活剤を内部へ浸透させることで改善することがあります。

しかし、このように錆や腐食が進行している場合は、
接点復活剤では改善できないことが多く、
スイッチ交換が必要となります。
GBAの基板に新しい電源スイッチを取り付けた後の写真
新しい電源スイッチを取り付けます。
組み立て時の写真
基板を元に戻します。

組み立てと動作確認

組み立て時の写真
組み立てます。
動作確認時の写真 
IPS液晶を取り付けた後
本体を起動させて動作確認を行います。
動作確認時の写真 
IPS液晶を取り付けた後
ゲーム起動画面
修理完了!
ビフォーアフター写真

まとめ

今回のように、
画面の劣化により、
まるで画面がひび割れ、破損しているように見えてしまうことがあります。

この劣化は進行を止めることができないため、
早い段階での修理(偏光フィルム交換)がおすすめです。

また、せっかく本体を分解、修理するのであれば、
見やすさが大きく向上するIPS液晶化もおすすめできます。

とはいえ、
やはり純正の雰囲気を崩したくない
という方もいらっしゃるかと思います。

この見づらさが良いんだ。
その気持ち、分かります。

このようなカスタマイズ事例記事を書いておきながら、
私自身、カスタマイズされたゲーム機はあまり好みではなく、
やはり純正が一番だと思っています。

メーカーが考えて設計した純正の雰囲気。
自動車、バイクにも言えることですが、これはもう……
おっと、長くなりそうなのでここで止めておきます。

そのような純正を好む方には、
液晶交換ではなく、
偏光フィルム交換による液晶修理もおすすめです。

偏光フィルムを交換することで、
また綺麗な画面へ改善できる場合があります。

当社では、このような修理にも対応しております。

GBASPの事例にはなりますが、
偏光フィルム交換についても紹介しておりますので、
どのように交換しているのか気になる方は、
ぜひ以下のページをご覧ください。

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