起動時に「ピピピ」と電子音が鳴り、
そのまま電源が落ちてしまうYLODの修理をご依頼いただきました。
YLODが発生している原因を調べる
PS3の初期型において多く発生するYLODは、
本体を構成している部品の故障により発生します。
※システムの故障でも発生するケースもあります。
YLODと呼ばれる症状は発生するタイミングもさまざまで、
起動から1秒~5秒程度で「ピピピ」と電源が落ちるものや、
5秒以上経過してから落ちるケース、
XMB(PS3のホーム画面)までは起動するものの、その後に電源が落ちるケース、
ゲームプレイ中にのみ電源が落ちるケースなどがあります。
また、電源が落ちる原因も一つではなく、
本体を構成している部品の故障に加え、
メイン基板上の小さな電子部品一つの不具合でも発生します。
そのため、当社でのYLOD修理では、
PS3のメイン基板を取り出し、パソコンと接続して本体内に記録されたエラー情報を確認し、
電源が落ちる原因を特定したうえで修理を行います。




今回のYLODの原因
基板のエラー情報を確認したところ、
メイン基板上に搭載されている主要チップの故障により、電源が落ちる症状が発生していました。
具体的には、RSXと呼ばれるパソコンでいうGPUにあたる部品が、
経年劣化により基板との接触不良を起こしている状態で、
いわゆるハンダクラックにより電源が落ちる症状が発生していました。


修理内容について
ハンダクラックによりYLODが発生していることが判明しましたが、
今回お預かりしたPS3の基板には、
過去にハンダクラックの修理を目的とした加熱処理(ヒートガン等)が行われている形跡がありました。
そのため、
リフロー修理(熱を加えてハンダの割れや浮きを一時的に修正する方法)では再発する可能性があると判断し、
リボール修理(再はんだ)を行うことにしました。
応急処置とデータのバックアップ
リボール修理時に熱に耐えきれず、基板が故障してしまう可能性があるため、
応急処置としてリフロー修理を行い、PS3を一時的に起動させたうえで、データのバックアップを行いました。
PS3は内部データの管理が厳しく、
本体が起動できない状態ではデータを取り出すことができません。
そのため、バックアップを行うには一時的にでも起動させる必要があります。


RSXそのものが故障している場合は、
一時的でも起動させることが困難になります。


嘘です。
5時間ほど掛かりました。
PS3の【残り時間】は、あてになりません。
RSXの取り外しと状態確認
データのバックアップ完了後は、
再度基板を取り出し、RSXを基板から取り外します。
RSXの取り外しには専用の機械を使用し、
基板を加熱してハンダを溶かし、RSXを基板から取り外します。




通常であれば、
基板内の湿気を飛ばすためにベーキングという工程を行いますが、
今回はバックアップ時に数時間起動させていたため、そのままリワークを行います。



プリヒート工程があるため、約20分ほど時間がかかります。

はんだが溶けたタイミングでRSXを基板から取り外します。
このタイミングを誤ると、RSXの再利用が困難になったり、
取り付け部分(基板側)の変形や、
周辺部品の故障につながるため、慎重に作業を進めます。
RSXの状態を確認する






抵抗値にばらつきが見られたため、
このまま再利用した場合は正常に起動できない恐れがあると判断しました。
また、再度の取り外しや取り付けを行うことで
基板へのダメージも懸念されるため、
今回は交換にて対応することにしました。
RSXを取り付ける
取り外したRSXを点検したところ、適切な抵抗値ではなかったため、
再利用は難しいと判断しました。
そのため、新しいRSXを用意し、基板へ取り付けを行います。
取り付けの際は、はんだボールを適切に形成したうえで位置合わせを行い、
基板と確実に接続されるよう慎重に作業を進めます。


RSX取り外し時に他の小さな電子部品が脱落していないかを確認します。




動作点検と組み立て
RSX交換後は、最小構成の状態で組み立てを行い、
正常に起動するかを点検します。
その後、ディスクドライブ等を取り付け、
実際にゲームをプレイしながら、映像の乱れや動作の安定性について長時間の点検を行います。

最小構成の状態で起動するかを確認します。

RSXの交換で注意が必要なのが、
電源は落ちず正常に起動するものの、
映像が出力されない「GLOD」と呼ばれる故障に発展する可能性がある点です。
そのため、この工程は緊張する瞬間です。

フリーズや画面の乱れが発生することもあります。

ディスクドライブ等を取り付けて、さらに動作点検を行います。


ゲームを起動して負荷をかけながら、動作点検を続けます。

問題がないかを点検します。

さいごに
今回お預かりしたPS3のYLODの原因は、
RSXのハンダクラックにより発生していました。
応急処置時のデータバックアップの際、
本体がそれほど温まっていない状態でも冷却ファンが高回転していたため、
RSXそのものにも不具合があった可能性があります。
そのため、RSXの交換を行い、
適切なファンの回転速度と安定した動作を確保しました。
RSXの交換やリボール修理は簡単に行える作業ではなく、
基板の状態や種類によっては反りや破損が発生するケースもあります。
そのため当社では、予防目的でのRSXリボール修理や、
故障していない状態で新しい世代のRSX(40nm)へ交換するといった作業は行っておりません。
データの復旧を第一とし、できる限り長く使用できる状態へと改善することを重視して修理を行っております。
PS3のYLOD症状でお困りの際は、一度ご相談ください。
詳細な注意点や料金については、以下のページにてご確認いただけます。

